多変量テストはA/Bテストとどう違うのか?CVRを素早く改善する方法と注意点を解説

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WebページやECサイトの成果を最大化する上で、A/Bテストは多くの方にとって一般的な改善方法でしょう。
一方で、多変量テストを実施することで、どのような効果が出るのでしょうか?

一例としては、以下のようなことなどが可能でしょう。

  • ファーストビューを全体的に最適化して直帰率を下げ、広告効果のロスを最小化する
  • 最適なCTAデザインについて、最終的な案を統計的に決定しCVRを最大化する

そもそも、多変量テストとは複数の要素を同時にテストする方法で、一般的なA/Bテストとは手法や実施目的などが少し異なります。
A/Bテストでは、単一要素の2つのバージョンを比較するのに対し、多変量テストでは複数要素の相互作用を分析します。

本記事では、A/Bテストと多変量テストを効果的に使い分けて活用するために必要な情報として、両者の活用シーンや解決できる課題の違い、具体的な実施方法、正しく効果を得るための注意点、有用なツールの比較など、多岐に渡る情報を整理して提供します。
両者の違いや特性について深く理解して使いこなすために活用してください。

多変量テストとA/Bテストについて

多変量テストもA/Bテストも、どちらも複数のパターンでパフォーマンスを比較し、より最適なUIを目指すための取り組みという観点では共通しています。

一方で、実施する目的や、実施すべき状況が違うと言えるでしょう。
そもそも、多変量テストを実施するためには一定の条件をクリアする必要があります

こういった違いや、それぞれの特徴、意義について本セクションでは解説します。

A/Bテストとは?

A/Bテストとは、1つの要素について2つのバリエーションを比較することで、よりユーザーに効果的に訴求できるデザインやUIなどを比較検討するための手法です。
A/Bテストの一般的な例としては、同じページでボタンの色を変えるなどして、2つのうちどちらのバリエーションがよりクリックされやすいかを比較することなどが挙げられます。

ただし、複数のバリエーションを比較してパフォーマンスをテストする分析方法全般を広義な意味で「A/Bテスト」と呼ぶ場合もあるので、文脈によって判断することも重要です。

また、A/Bテストをおこなうことは、新規の改善案を実装する前にリスクヘッジをするという観点でも重要です。
仮に、以前のバージョンの方が効果的だった場合、ユーザーの転換率などが下がってしまいます。
A/Bテストを実施していないで数値が下がってしまった場合に、トレンドなどといった外部の影響なのか、変更した要素の影響なのか判断がしにくくなります。

多変量テストとは?

多変量テストとは、同時に複数の要素を変更し、各要素の相互的な影響を詳細に分析する手法です。
Webページやボタンなどの要素について、色や配置など変更する箇所を決め、組み合わせ可能な全てのバリエーションで検証をおこないながら、どのようにユーザー体験が変わったかを比較分析します。

少しわかりにくいので、具体例を挙げて説明します。
例えば、あるCTAについて、ボタンの色と設置箇所、文言という3つの要素についてそれぞれ2パターンから検討するために多変量テストを実施するとします。

その場合、2×2×2=8通りのバリエーションをテストするということになります。

このようにテストすることで、どの要素が優れているかが分かるだけでなく、複数の要素の変更が組み合わさった結果、どのパターンが最も高いパフォーマンスを発揮するか分析できることが特徴です。
ただし、複雑なシナリオでのユーザーの反応を分析するのには適している多変量テストですが、その分だけ必要なトラフィックが多くなるため、どのようなLPやWebサイト、アプリでも実施ができる手法ではないことに注意する必要があります。

二つのテストの違いを比較する

多変量テストとA/Bテストは、ウェブページの最適化に広く用いられる方法です。以下の表で両者の特徴を詳しく比較しましょう。

項目 A/Bテスト 多変量テスト
必要なトラフィック 一般的に少なくて済む 相対的に多く必要
月間10万セッションが目安
比較する要素 一度に1つの要素で比較 複数の要素を同時に比較
テストの複雑さ シンプルで実施も容易 設計と分析が複雑
相互要素の因果関係 明確な因果関係 複合的に考慮が必要
用意するパターンの数 2パターンが一般的 パターン数を要素の数だけ累乗
ページ等の規模 中〜大規模なページ 大規模なページ

 

多変量テストでは、多くの変数を扱うため深い分析が可能ですが、複雑で多くのリソースとトラフィックが必要となるため、統計的に有意な結果を獲得するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。

一番大きな条件として、一般的には10万以上のトラフィックが必要と言われています。ただし、顧客転換率(CTRやCVRなど)が大幅に高い場合は実施してみる価値があるでしょう。

また、トレンドの影響をほとんど受けない分野の媒体であれば、長期間の実施によってトラフィックを補えないか検討するのも良いかもしれません。

一方、A/Bテストは単一の要素に対する影響を測定し、結果が迅速に得られ、因果関係も明確で分析がシンプルです。

どちらのテストにもメリットとデメリットが存在し、選択するべきテスト方法は目的やリソースの余裕、求める精度などに応じて行うべきです。適切に使い分けることで、効率的かつ効果的なLPO(ランディングページの最適化)が実現可能で、ビジネスの成長に大きく寄与します。

多変量テストで解決できる課題

多変量テストはランディングページ等の最適化を目指す施策の中でも特に強力な手法となりえます。
この項目では、多変量テストを効果的に活用することで、どのような課題が解決すると期待されるのかを解説します。

複合的な要素の最適化によって実践的にCVRが改善される

多変量テストを活用すると、ページデザインの色、レイアウト、フォントなど、複数の要素を同時に最適化できます。
これによって、効果的な訴求ができるようにページ全体のUIを調整することが可能になります。
調整した変更が効果的に影響すれば、CVRが大幅に改善されることが期待できます。

単一要素を比較するだけのA/Bテストでは、その要素についてより効果的なデザインを追求することは可能ですが全体のバランスの調整などには向かないでしょう。
そのため、正しく多変量テストをおこなうことができれば、最終的な調整をおこなってページの流入のポテンシャルを最大化することが可能でしょう。

ファーストビューでの直帰率を下げる

CVRなどを高めることを目的とする際に、注目すべき指標や改善点はいくつかあります。
その中でも、最初に着手してインパクトが出やすいのは「ファーストビュー」です。
なぜなら、ファーストビューは訪問したユーザーの全員が必ず見る箇所だからです。
ファーストビューでの直帰率を下げることができればCTAまで到達するユーザーの母数を増やすことができます。

多変量テストでは、見出し、CTA、画像などの要素の最適な組み合わせを試すことができ、効果的なファーストビューを設計できるため、Google Analyticsなどを確認して十分な流入はあるが直帰率が高いと判断した場合は、多変量テストを実施すると良いでしょう。

多面的な観点からのユーザー行動が分析できる

多変量テストは、ユーザー行動について多面的な観点からの理解を可能にする手法です。
単一要素のA/Bテストと異なり、複数の要素が交互に影響を及ぼす様子を観察することができます。
これにより、より深く、より包括的なユーザーの理解が可能となります。ユーザー行動の深い理解は、高いCVRへと繋がり、最適化されたユーザーエクスペリエンスを提供する上で非常に価値があります。

多変量テストは、ユーザーの行動を多面的な観点から分析するのに有効です。
単一要素で比較するA/Bテストとは異なり、複数の要素が交互に影響を及ぼす様子を観察することができます。
これにより、LPのデザイン等とユーザーの関係について、より包括的に理解が可能となります。

迅速かつ効率的にLPO戦略を最適化できる

LPOの戦略を迅速に実行する目的においても、多変量テストは非常に効果的です。
複数の要素を同時にテストするため、短期間で多くのデータを収集し、分析が可能となります。
これによって、最適なLPのデザインを迅速に見つけることができ、素早い対応が実現します。

これらの点から、多変量テストはウェブページの改善における強力な手法であると言えるでしょう。
複雑な要素の分析から、迅速な戦略の構築まで、多岐にわたる課題を効率的に解決します。

多変量テストでCVRの改善に繋がるおすすめの要素

多変量テストを実施する上で、効果的にCVRを上げるために比較するべき要素は、ある程度定まっているとされています。
基本的には、多変量テストをする場合も、A/Bテストと比較するべき要素に大きな違いはありませんが、この項目では見直すことでCVRや直帰率などが改善されると期待される要素を紹介します

ページデザインの要素

ページデザインの細部は、ユーザーエクスペリエンスに大きな影響を与えます。色、レイアウト、フォントなどのバランスは、ブランドの印象を形成し、訪問者の感情や行動に直接作用します。多変量テストでこれらの要素を最適化することで、CVRの向上が可能になります。

見出しとCTAの配置とデザイン

見出しはページの重要な情報を伝える役割を果たし、CTAは訪問者に対して特定の行動を促すものです。これらの配置とデザインの最適化は、CVRの改善に非常に効果的です。多変量テストでは、見出しとCTAの相互作用も評価でき、最適な組み合わせを見つけることができます。

サイト内のナビゲーション構造

サイト内のナビゲーション構造は、訪問者がサイト内でどれだけ容易に移動できるかに影響します。メニューの配置やリンクの構造など、ユーザーフレンドリーなナビゲーションを構築することで、訪問者の満足度が高まり、CVR向上に寄与します。

画像とビジュアルコンテンツ

画像とビジュアルコンテンツは、言葉だけでは伝えきれない情報や雰囲気を表現する強力な手段です。多変量テストで画像のサイズ、配置、色合いなどを調整することで、訪問者に与える印象を最適化し、CVRの改善を実現できます。

フォントとテキストの表示

フォントは、ブランドの個性を反映し、読みやすさに直結します。多変量テストでは、フォントの種類、サイズ、行間などを調整して、テキストの視認性と魅力を高めることができます。この過程で、訪問者にとって最も魅力的なテキスト表示を見つけ、CVRの向上に寄与することができるでしょう。

多変量テストのメリット

多変量テストは一度に複数の要素をテストする方法で、その多岐にわたるメリットから多くの業界で導入されています。
そのメリットについてこの項目では紹介します。

複合的な要素による相互的な影響を分析できる

多変量テストでは、複数の要素の相互作用や複合的な影響を分析できるのが大きなメリットです。
例えば、ウェブサイトのデザイン変更において、色や配置だけでなく、それらの組み合わせによる影響も一度に評価できます。
単一要素の変更では見えない、要素間の相乗効果も明らかにできるため、高い精度の改善策を導き出すことが可能です。

より精緻な結果が得られる

多変量テストは、各要素がどれだけ影響を及ぼしているかを正確に評価できます。
これにより、効果的な要素だけを集中的に最適化し、不要な変更を排除することが可能になります。
具体的な数字で要素ごとの効果を測定できるため、投資対効果を明確にすることができ、最終的なコンバージョン率の向上に直結します。

時間効率が大幅に向上する

多変量テストでは、一度に複数の要素をテストするため、テストの期間を大幅に短縮できるのが魅力です。
A/Bテストで同じ分析を行うと何回ものテストが必要となり、その都度、結果を待つ時間が発生します。
しかし、多変量テストならば、同時進行で複合的な分析が可能なため、素早い意思決定と施策実施が可能になります。
時間の節約は、競争の激しいビジネス界において重要な要素であり、迅速な対応が求められる時代において、非常に価値のあるメリットと言えるでしょう。

多変量テストのデメリット

多変量テストは効果的に活用することで強力なLPOの打開策を提示するかもしれない分析手法であると同時に、制約があったり、統計的に解釈に注意を要する難易度の高い分析手法でもあります。
そこで、本項目では多変量テストを実施する際にネックとなるポイントについて紹介します。

トラフィックが十分でないと統計的に有意な結果が得られない

多変量テストは、複数の要素を同時にテストするために高いトラフィックが必要とされるテスト手法です。
各要素の異なる組み合わせを試すために十分なデータが必要で、低いトラフィックでは正確な結果を得るのが困難となります。

このため、小規模なサイトや新規サイトでは多変量テストの導入が難しいことが多く、その結果、A/Bテストなどの他のテスト手法へと方針を変更する必要が出てくることが一般的です。
トラフィックが十分でない場合の多変量テストは、戦略の見直しや他の手法へのシフトを考慮するポイントとなります。

統計分析について、より専門的な知識が求められる

多変量テストは、多くの変数を扱うことから統計的に複雑な分析が必要とされます。
異なる要素の組み合わせがどのように影響を及ぼすのかを解析するために、高度な統計知識や分析技術が必要となるため、専門家が必要とされることが多いです。

この専門知識が不足すると、誤った解釈や意図しない結果につながる可能性があります。
したがって、専門のスキルを持つ人材の確保や外部の専門家との協力が不可欠となることもあるでしょう。

実施コストの増加が懸念される

多変量テストの実施には、複数の変数のテスト計画、高度な分析、専門的な知識などが求められるため、実施コストが高くなることが一般的です。
この高コストは、特に予算が限られているプロジェクトでは大きな課題となることがあります。

専門的な分析ツールの導入や外部の専門家の協力が必要な場合もあるため、事前のコスト見積もりと効果の検討が重要です。
この手法が最適であるかどうかを慎重に評価する必要があります。

変数が多すぎると統計的に有意なデータが得られないことがある

多変量テストのもう一つのデメリットは、テスト結果が統計的に有意ではない場合があるという点です。
変数の数が多いと、各変数の影響を明確に見るためのデータ量が膨大になり、これにより有意な結果が得られないこともあります。

その結果、テストの結果が不確かであったり、解釈が困難になったりすることが考えられます。この問題を避けるためには、テストの設計段階で変数の選定や水準の設計を慎重に行う必要があります。
状況に応じて、通常の
A/Bテストなどへの変更も検討するべき選択肢の一つとなるでしょう。

近しいテストの手法と解決できる課題を解説

A/Bテストや多変量テストのように、複数の要素を比較して、よりパフォーマンスの高いUIをテストする手法を広義な意味で「A/Bテスト」と一括りにされることが多くされます。
この項目では、広義な意味でのA/Bテストと呼ばれるものや、近しいものと考えられている分析方法を紹介します。
自社の課題をより効果的に解決できる方法がないか検討してみてください。

複数ページテスト(ファネルテスト)

複数ページテスト、別名ファネルテストは、ユーザーがサイト内で複数のページを経由するプロセスをパターン化してテストする手法です。
このテスト方法では、購買プロセスや登録プロセスなど、ユーザーが複数のステップを経るシーンで有効です。

ファネルテストを実施することで解決しやすい課題は、ユーザーがどの段階で離脱するかを把握し、その原因を突き止めることです。
変更を加えたいページごとに、異なるバージョンを用意し、どのページで最も効果があるのかを測定します。
結果として、サイトのコンバージョン率向上やユーザー体験の最適化が実現可能となります。

リダイレクトテスト

リダイレクトテストは、特定のURLから別のURLへのリダイレクトを使って複数のページバージョンをテストする方法です。
主に、デザインやレイアウトの大幅な変更や、全く別物を検討している時に使用される手法で、A/Bテストの一種とも言えます。

このテスト手法の利点は、既存ページの微調整ではなく、全く異なるページデザインや構造を比較できることにあります。
一方で、リダイレクトの設定ミスがSEO評価などに悪影響を及ぼす可能性もあるため、慎重な実施が求められます。
適切に実施すれば、サイトの利用者にとって最も魅力的なデザインを導き出すことが可能になります。

各テスト手法の特性と適用シーン

以上のテスト手法は、それぞれ異なるシーンや目的で使用されます。

複数ページテストは、ユーザーの複数のステップを最適化したい場合や、全体の流れを把握したい場合に効果的です。
リダイレクトテストは、ページ全体のリニューアルや大幅なデザイン変更を検討している場合に適しています。

それぞれのテスト手法には特有のメリットとデメリットがありますので、目的に応じて適切な手法を選ぶ必要があります。
選択したテスト手法が解決すべき課題に適合しているかどうかを常に確認することで、より効果的な結果を得ることができるでしょう。
このプロセスは、サイトの最適化に欠かせないステップとなることでしょう。

ABテストの効果的な振り分け方や仕組みを解説|成果を出すコツや考え方

多変量テストに活用できるツールを複数比較する

多変量テストを実際におこなうとなった場合、何らかのツールを利用することが必須となります。
しかし、A/Bテスト自体は実施可能なツールであっても多変量テストには対応していないツールなどもあるため、この項目では多変量テストにも対応したツールを紹介します。

主要ツールの機能と特徴

多変量テストを実施する際には、専門的なツールの使用が一般的です。
以下はその主要なツールと、それぞれの機能と特徴についての解説です。

Optimizely:

Optimizelyは、A/Bテストと多変量テストをサポートするツールの中でも非常に人気のあるツールです。
インタラクティブなインターフェースで、非技術者にも扱いやすいことが特徴です。
テストのセットアップが容易で、迅速にテストを開始できます。

Adobe Target:

Adobe Targetは、企業規模のテストに適した高度な機能を提供しているツールです。
分析と最適化の両方を一つのプラットフォームで実施できるので、広範な分析が可能です。

 

VWO (Visual Website Optimizer):

VWOは、手頃な価格であることが特徴で、中小企業などにとって利用しやすいツールです。
ユーザーフレンドリーな操作感で、初心者でも取り組みやすいような設計になっています。

ツールまとめ:

これらのツールを活用することで、多変量テストのプロセスを効率化することや、統計的有意性を確保できるようになることが期待できます。

また、ツールを導入する際は、自社のニーズとかけるべき予算に応じて選択することが重要となります。
別の記事でこれらのツールについて紹介しているので参考にしてください。

Optimizelyとはどのようなツールか|ABテストの作成方法手順も紹介

Adobe Targetの特徴とは?費用やその他のツールもあわせて紹介

各ツールの選定基準と活用方

多変量テストツールの選定は、プロジェクトの目的や予算、チームのスキルレベルなどに基づいて行うべきです。

  • 目的と予算の明確化:プロジェクトの規模や目的に応じて、最適なツールを選定する必要があります。企業規模のプロジェクトにはAdobe Targetのような高機能なツール、中小企業にはVWOのような手頃な価格のツールが適しています。
  • チームのスキルレベルの考慮:チームの技術レベルに合わせたツールの選定が重要です。技術的なスキルが低いチームにはOptimizelyのような扱いやすいツールが向いています。
  • テスト戦略との整合性:長期的なテスト戦略とツールの特性が合致するかを確認し、持続可能なテスト環境を構築するべきです。

以上の基準に基づいてツールを選定することで、効果的に多変量テストを実施し、サイトの最適化を成功させることができます。

統計分析の観点から多変量テストの理解を深める

2つのパターンのみで比較をおこなうA/Bテストにおいては、比較的シンプルな分析方法であるため、A/Bテストについての理解だけでも十分なパフォーマンスを出すことも可能でした。
一方で、多変量テストを本格的におこなう場合には、統計的観点から理解を深めることで本質的なユーザーのニーズなどに気付けるようになるかもしれません。

ANOVA(分散分析)とは?

ANOVA(分散分析)は、3つ以上のサンプル群の平均値が統計的に異なるかどうかを判断するための手法です。
多変量テストでは、様々な要素を組み合わせてテストするため、結果の平均値を比較する必要があります。

具体的には、ANOVAは群内変動と群間変動の2つの変動を比較し、これらが統計的に異なるかどうかを判断します。
群内変動とは、各サンプル群のデータがその群の平均からどれだけずれているかを測ります。
群間変動とは、各サンプル群の平均が全体の平均からどれだけずれているかを測ります。
ANOVAでは、これらの変動の比率を計算し、F値を求めます。

T検定とは?

T検定は、2つのサンプル群の平均値が統計的に異なるかどうかを判断するための統計手法です。
A/Bテストで2つのバリエーションを比較する際に使用されることがあります。

T検定では、サンプル群の平均値、標準偏差、サンプルサイズを使用して、t値を計算します。
このt値がt分布に基づいて統計的に有意かどうかを判断します。
有意水準(通常は5%)以下であれば、2つのサンプル群は統計的に異なると解釈されます。

統計的な解釈と注意点

多変量テストの統計分析は非常に強力ですが、そのデータを効果的に活かすためには正しい解釈と実施が不可欠です。
以下の5つのポイントに特に注意するとよいでしょう。

サンプルサイズ:サンプルサイズが小さすぎると、結果の統計的な信頼性が低下します。適切なサンプルサイズを確保することが重要です。

前提条件のチェック:ANOVAやT検定には特定の前提条件があります。例えば、データが正規分布に従うこと、等分散であることなどです。前提条件を満たさない場合、非パラメトリックな方法を検討する必要があります。

多重比較の問題:複数のテストを同時に実施すると、第一種過誤という、本当は差がないのに差があると誤解してしまうリスクが高まる可能性があります。補正手法の使用を検討するとよいでしょう。

ツールに起因する誤差:多変量テストを支援するツールは非常に有用ですが、誤差が発生することもあります。これはツールの性能が低いからではなく、データの取得、処理などの複雑さから起こる自然な現象です。理解と適切な対処が求められます。

AAテストの実施:ツールやテスト環境自体に偏りがないかを確認するため、AAテスト(すべて同一の条件でのテスト)を実施することが推奨されます。これにより、テストの信頼性と精度を向上させることができます。

統計分析を用いた多変量テストは、データの有意性を確かめる上でも慎重に進めるべきです。
上記の注意点を考慮しながら進めることで、より正確で効果的な結果を得ることができるでしょう。
ツールの選定も重要ですが、結果の解釈と適切な実施が何よりも重要であることを念頭に置くとよいでしょう。

AAテストでABテストの有意性を見極める|具体的な実践方法と統計的有意性の確保

まとめ|多変量テストは難易度が高いが、効果も高い

多変量テストは、通常のA/Bテストとは異なり、一度に複数の要素についていくつもの組み合わせを用意して同時にテストします。
これにより、要素同士の相互作用とその効果を詳細に分析できますが、進行中の誤差の管理と解釈にはより注意が必要です。

本記事での内容をまとめると以下のようになります。

通常のA/Bテストとの違い:通常、A/Bテストは1つの要素に焦点を当てるのに対し、多変量テストでは複数の要素の組み合わせを試します。これにより、要素間の相互作用を理解できるため、より深く分析をすることができます。

トラフィック数の確保:多変量テストの実施には、十分なトラフィック数が必要です。少ないトラフィック数で実施しても、統計的観点では結果の信頼性が下がる可能性があるため注意が必要です。月間で10万のセッションがあるかどうかを目安とすると良いでしょう。

誤差の管理:この方法では、ツールに起因する誤差など、様々な要因が結果に影響を与える可能性があるため、細心の注意と専門的な分析が必要です。

複数要素の相互的影響:複数の要素を同時に変更するため、どの要素がどのように相互に影響を及ぼすかを理解する必要があります。これにより、最適な組み合わせを見つけ、より効果的なページデザインとユーザー体験を実現できます。

結論として、多変量テストは一見複雑に見えるかもしれませんが、効果的に活用することができれば、例えばファーストビューを高速で改善して離脱率を改善するといったことも可能です。
ただし、有効に実施することができる条件が限られているため、実施の可否やタイミングを正しく見極めて効果的に活用できるようにすることが重要です。

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