ALL YOURSにカスタマーエクスペリエンスのお手本を見た

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無料で改善案も入手できるLPOツール「dejam」。ヒートマップ、Web接客、プロジェクト管理、改善ナレッジなど盛りだくさん!

※記事が一部消えていたので再掲しました。

いやはや、暑いですね。
シャツの汗じみが気になり始めました。
こんにちは、マシロです。

みなさん、服ってどこで買ってますか?
百貨店?セレクトショップ?実店舗?それとも通販?

わたしは以下の順で頻度が高いです。
好きなブランドのオンラインショップ>ZOZOTOWN>楽天

もしZOZOTOWNで好きなブランドの服が売られていたとしても、そのブランドをググって公式オンラインショップを「かならず」見にいきます。
仕事柄どうしてもオンラインショップを「店舗のひとつ」として見てしまうんですよね。

なので、サイトのたてつけが悪く「うーん…惜しい!」と思うこともしばしば。
「自社のプロダクトに愛はありますか?」と感じてしまうわけです。

そんな中、たまたま見つけた「ALL YOURS」というアパレルブランド。
みなさんご存知でしょうか。

https://allyours.jp/

実を言うとまだ購入できてないんですが、ひさしぶりに「オンラインで服を選んで買おうとする楽しさ」を経験しまして。
最高のCXでした…。
もうあまりに感動したので、ぜひ紹介したいと思います。

アパレルにおけるカスタマージャーニー

前提として、服を購入する際のカスタマージャーニーは、ざっくり以下に分類されると個人的に考えています。
CXを左右するもの、です。

購入前:広告の巧さ・十分な商品説明
購入時:接客
使用時:似合っているか、不便さはないか
破損時:迅速で丁寧に対応してもらえるか
3ヶ月後(季節がひとつ巡るので):また買いたくなるか

それぞれ、ALL YOURSと照らし合わせながら見ていきます。

購入前のCX

購入前のポイントは、「その服やブランドがどれだけ魅力的か」だと思うんですね(価格はいったん置いておきます)。

そして、「この服ステキだな」というCXを体験する要素として、「見た目」は言うまでもなく、その服がどんなバックグラウンドで作られたかという「ブランドコンセプト」も関係してきます。
つまり、まったく同じ見た目の服でも、そこにストーリーがあるブランドとないブランドがあったとしたら、ストーリーのあるブランドのほうに魅力を感じるだろうということです。

これは服に限らず、シューズやアクセサリー、腕時計などでも同じでしょう。

ALL YOURSのコンセプト

さて、ALL YOURSのコンセプトは「“UnFashion”としての服」です。
自分たちの作る服は「着飾るためのものではない」と言いきってしまうファッションブランド…(褒めてます!)。

仕事着ではなく日常で使うことを想定している以上、ある程度は洗練されていないとカスタマーとしては着る気にはなれません。
しかし、そこには触れずファンクショナルでミニマルな部分をブランドコンセプトとして前面に押し出していて、それが逆に強烈なインパクトとして心に残るわけです。

ちなみに、デザインは派手さを削ぎ落としたシンプルなものがメインです。
個人的にはこういう無駄のないものに惹かれるのですが、今回はプロダクト自体に関する云々は完全に横道なのでこのへんで。

ALL YOURSの商品説明

わたしが最初にALL YOURSを知ったきっかけでもあるこの商品。
その名も、「【世界一ストレスフリーなジャケット】着たくないのに、毎日着てしまう ジャケット」です。
https://store.allyours.jp/items/20640997

なんて潔いネーミング…!
「着たくないのに、毎日着てしまう」、このコピーだけで、「ウリは着心地なんだな」と直感的に理解できます。
ハートのど真ん中を完全に射抜かれました、わたし。

ちなみにわたしが今気になっていて、欲しいのはこちら。

こちらは「【汗をかいてもシミにならない】ハンズアップ シャツ」
https://store.allyours.jp/items/20641007

冒頭で書いたとおり、まだ6月中旬だというのにシャツの汗じみが半端ないわたしのために作られたアイテムといっても過言ではありません。
そしてこれもひと目で「何を目的に作られたシャツかが一目瞭然」な商品名。
メリットをそのまま言葉にしただけなんですが、不思議と斬新さを感じます。

 

こじゃれたネーミングではないものの、店員さんに説明されるまでもなく聞いた瞬間に魅力がわかってしまう、愚直ですらある名称にまず魅力を感じました。

ちなみに商品の説明文も素晴らしいです。

アパレル用語や縫製用語をほとんど排除し、スマートフォンで読んでも読みやすい文字量でまとめ、要点だけが簡潔明瞭に述べられています。
実際に読んでもらうと、このジャケットで推したいポイントがよくわかるかと。

これは他のブランドもぜひ見習っていただきたいですね。

購入時のCX

購入時のポイントは「接客」に尽きます。
快い接客はすなわち快いCXに直結するといえます。

アパレルの場合、店舗であれば手厚い接客を受けられますが、オンラインストアにおいては基本的に接客の手段がありません。

店頭での接客に煩わしさを感じてECサイトを好む人もいますが、個人的には年を取ったからか積極的に店員さんと話すので、このタッチポイントは極めて重要なわけです。

 

ALL YOURSは「オンライン接客」と称して「かんたん質問箱」「個別Zoom接客」「ご自宅お試し制度」という3つの接客サービスを打ち出しています。

かんたん質問箱

Google フォームに質問内容を入力して送信すると、ALL YOURSからカスタマーのTwitterのDMに返信が来て、そこでチャットのようにやりとりをするというものです。
ただのお問い合わせフォームのようで、しれっとTwitterへ誘導させるあたりはある意味顧客のエンゲージメントを高めるうまい戦略だなと(広告を打たなくてもフォローが獲得できるわけですから)。

個別Zoom接客

現段階だとまだ利用者は少なそうですが、最近はオンラインチャットが流行りを見せていることもあり、これからかなり発展しそうな新しい接客スタイルといえるでしょう。
店舗側からすると、一対一なのでクロージングもかけやすいですし。

ご自宅お試し制度

これは、「着てみて気に入らなかったらサイズ交換も返品も何回でも自由、送料はすべて当社が負担しますよ」というものです。
送り返してまた届くのを待つというタイムラグこそありますが、「質問箱」→「Zoom接客」→「お試し」のステップで進めば、買って後悔するようなことはほぼ起こり得ないでしょう。

あえてこういうある意味でアナログな手順を踏むことも、これもわたしが年を取ってきたからか、「服を選ぶ楽しさ」のひとつとわたしは感じますね(そしてこれも立派なCXのひとつといえます)。
余談ですが、実は店舗(池尻大橋)での接客でこの丁寧さがどのように変わるのかを知りたくて、今は商品を買い控えている次第なのです。

使用時のCX

これは実際に体験できていなくて申し訳ないんですが、購入前の手厚いオンライン接客を受けていれば、「届いたものが想像と違った」ということにはなり得ません。

「ネットで服を買うのは不安」というオンラインショップにおけるカスタマーの一番大きな心理的負担を、ALL YOURSは難なく突破したことになります。
やや大げさかもしれませんが、アパレルのECモールとして名を馳せるようになったZOZOTOWNでさえ成し遂げられなかった偉業とすら個人的には感じています。

なお、ALL YOURSのプロダクトでもっともあってはならないCXは、「着てみたら想像していたほど着やすくなかった」というものでしょう。
仮にも現代のワークウェアを標榜して(現代の主な仕事場はブルーカラーからホワイトカラーに移り変わっていますが)、そしてワークウェアとしては高価格帯のプロダクト。
そして、「ストレスフリー」や「汗をかいてもシミにならない」という、自称しているメリット。
これらは、諸刃の剣にもなりかねないわけです。

なので、ALL YOURSではそういった「買ったあとの予期せぬ裏切り」をできる限り抑えるように、購入時のサポートが徹底されているんですよね。
当たり前といえば当たり前なんですが、限られた商品画像と説明文だけで買うかどうかを決めることが主流になってきたという購買行動の変化や、積極的な接客をしないファストファッションの台頭によって、今は「服を買うときの当たり前」をだんだんと体験できなくなっています。

ファッション好きな方なら、共感してもらいやすいかもしれません。

破損時のCX

上記はリペアのWebページですが、ALL YOURSはリペアだけでなくカスタムまで受けてくれるとのこと!
体型に合わせてシルエットを変えたり、ボタンを追加してくれたりするそうです。

自分だけのオリジナルにできるという体験はとても嬉しい…!
体型が変わりやすい人もいますしね。

話をリペアに戻しますが、ALL YOURSのプロダクトは「長く着られる服」ということもあって、破損時にはかなりきめ細やかに対応してくれます。
服は消耗品なので、個人的にはお気に入りの「一張羅」ほど着る機会が減る傾向にあるんですが(そして気づくと服の好みが変わるという…)、こういう手厚いリペアを受けられるのであれば、気兼ねなくガンガン着倒すことができちゃうわけです。

着心地がよくて、そもそも耐久性が高く、もし破損してもちゃんと直してくれる。
これはアパレルにおいては至高のCXですよ!?

ちなみに破損しないとリペアを受けられないのでレビューは難しいですが、Webサイトの第一階層にリペアのページが置かれているというだけでも、「ALL YOURSはリペアを大事にしているんだなあ」と安心感を得られる、やはり快いCXなわけです。

3ヶ月後のCX

これはざっくりと言うと「季節が変わったときに同じブランドの別の商品を着たいと思えるか」ということです。
商品購入までのCXを経て、ブランドへのエンゲージメントが高まっている状態と言い換えられますね。

ここまでブランディングが徹底していると、公式TwitterやInstagramもフォローしますし、やはり新しい季節のアイテムも気になりますね。
わたしはもうすっかりALL YOURSのファンになってしまいました…。
(2020年6月17日現在、500着限定で販売を開始したショートパンツで心が揺れ動いております)

まとめ

服にはひとつひとつ個性があります。
見た目だけじゃなく、素材やボタンの一つひとつ。
その服が作られた意味や目的、背景。
そして、作り手の想い。

これらを感じながら服を選び、購入して着用し、次の季節を楽しみにする、その一連の体験がアパレルにおけるカスタマーエクスペリエンスです。

こだわって服を選ぶ人もだいたい個性が強いので、今回紹介した「ALL YOURS」の良さが万人に当てはまるとは言いにくいですが、CXの観点でお手本のような体験をしたので、今回あえて紹介してみました。

 

ざっくりしているようで実は考えに考え抜かれて設計・構築されたオンラインストアは一見の価値あり!
https://store.allyours.jp/

実店舗に行く機会ができたらまた記事にできればと!

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